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音楽コラム集|音楽知識系コラム

【コラム】テレビ音響効果の世界「サウンドロゴ 前編」

2014.11.25

みなさんはTBSのゆるキャラ、BooBoとBoonaを知っていますか? よくTBSの番組PRの最後にTBSのサウンドロゴ(CMなどの最後に企業の名前をサウンドで表現したもの)として目にすると思います。内容はBooBoやBoonaのショートストーリーになっていて、その終わりにTBSの文字が入ります。トータル5秒といった短いものですが、印象的あるいはインパクトのあるサウンドで、なおかつ直感的に伝わらないとダメなわけで、なめてかかるとドロ沼にハマりますw  今年の夏と秋は僕が担当したので、今回と次回の2回にわたってそのサウンドロゴの話をしたいと思います。(Sound Design Cubicのホームページでその映像が見ることができますので、よかったらぜひ!) 過去にSE(効果音)のお話を何度かしていますが、テレビの場合、足音やドアの閉開音、衣ずれの音などを付ける仕事はドラマ以外にはそうはないんですね。音楽を選曲することの方が圧倒的に多いのです。ただ、ドラマ以外でSEを多用する演出が1つあります。それはテロップにつける効果音で、テロップが出た瞬間にその出方に合わせてダーンとかジャーンとかバシ、ボヨヨンといった音を付けるわけです。バラエティ番組では「ツッコミ」と言ったりしています。こういう効果音は、いわゆる音効さんがそれぞれ自分のCDにしたりハードディスクにファイリングしたりしてオリジナルなものを持っています。最近は一般の人がプロ顔負けの編集や音付けをしてビデオを作ることが多くなり、そういった人向けに「音ネタ」シリーズみたいなCDも発売されていますね。プロもウカウカしてられません。 このようなテロップなどにアクセントを付ける効果音は、大きく分けて「電子音系」と「生音系」の2種類があります。今回のTBSのサウンドロゴでは、この「生音系」を多用しています。生音系を採用した理由は2つ、音の優しさと手作り感です。今回はBoonaのサウンドロゴだったので、その可愛らしさを出したかったわけです。 24_p11_onkyo1.jpg では、この「生音」をどうやって作るかというと、まずはおもちゃの楽器や民族楽器、お土産屋さんで売っている変わった音のするものなどを探し集めることから始めます。 写真は、僕がこれまで集めた楽器などのほんの一部です。写真右の杖みたいな楽器はレインスティックという楽器で、乾燥させたサボテンをくり抜きトゲを抜いて内側に差し替えたものです。中に砂つぶや小石を入れて揺すると中に飛び出たトゲに当たり、まるで水が流れるようなかろやかな音がします。 次回は、作品の中でどんな楽器をどんな風に使ったのかお話ししますね。 中島 克(なかじま まさる) 有限会社サウンド・デザイン・キュービック代表取締役。1985年、東京サウンドプロダクションを退社後、キュービックを設立。TSP在籍時には、テレビ朝日「川口探険隊」の選曲を担当。独立後は、「警視庁24時」「驚きももの木20世紀」「星新一のショートショート」などの番組も担当した。現在は、「美の巨人たち」「THE追跡」「Song to Soul」など楽曲制作も含め幅広く活動している。 [サウンド・デザイン・キュービック ]http://www.cubic-power.net