SEARCH

閉じる

音楽コラム集|編集部コラム

10代ミュージシャンのための基本講座ライブハウスに出よう!第1回

2013.12.26

NOAH BOOK編集部に衝撃的な情報が入った。心から音楽を愛し、楽器を弾く若者たちでも、ライブハウスでのライブをやったことがなく、学園祭以外のライブを経験したことがない者が多いというのだ! これは大変! そこで、10代ミュージシャンのための基本講座「ライブハウスに出よう!」と題して、ライブハウスに どうやったら出演できるのかを、あるバンドの挑戦にあわせて簡単に解説しよう! レッツ・ライブ! 21_1_1.png 21_1_top.png 2013年9月19日木曜日、夜19:30頃。東京上空を一筋の光が横切った。 大気圏から突入したその光。飛行機ほどの速さで姿を現し、大きな光を放って5秒ほどで消えた。国立天文台は、その光を隕石の落下によって発生した火球であると発表した。...同夜、中野区の無人と思われていたボロアパートの一室に灯がともった。そこには4つの人影があったが、その人影はどこか人間離れしている。野良犬が寝床にしようと窓から覗き込むと、そこではタコ、イカ、エビ、カニの顔を持つ異様な者たちがなにやら話し込んでいた。驚くべきことに、彼らは例の火球に乗って地球に飛来してきた宇宙人だったのだ! そこに全身黒ずくめ、闇夜にサングラスの男が近づいてきた。彼は内閣調査室MIB課のエージェント、矢追だ。国立天文台からの通報で、中野区に未確認飛行物体が落下したとの情報を受け取っていたのだ。窓に近づき耳をそばだてる。中からはなにやら不明瞭な言語が聞こえる。彼はレシーバーの通訳装置をONにした。すると中から聞こえてきたのは、矢追の想像の斜め上を行く会話だった。叫んでいるのはタコ面だ。「どこのライブハウスがいいタコ!? あらぁ地球で演奏するのは初めでタコ。慎重に選ばなきゃけないタコ!」 「はぁ?」矢追は耳を疑いつつ、窓の中をのぞいた。音楽情報誌を手にした魚介類が真剣に語り合っていた。矢追は本部との回線を開き、「火星型4体確認」と報告した。なおも張り込みを続ける。「いっぱいありすぎでわかんないタコ...」矢追は苦笑いを浮かべながら呟いた。「こいつら...本気か?」 なおも張り込んでいると、「これ見るエビ!」今度はエビが叫んだ。「『ローリング・サンダー』エビ!」4人は顔を見合わせた。「あの宇宙ラジオで聞いた曲なのかタコ!?」「『あなたは! いな(自粛)』」もしかしたらあの伝説の3人がいる店かもしれないイカ!」「ユー・アー・ローリング・サンダー的なサムシングがあるかもしれないカニ!」「ここで決まりタコ!」矢追は本部に連絡を取った「ライブハウス『ローリング・サンダー』について調べてくれ」。 翌日、例の怪しげなボロアパートから、トレンチコートを着て、帽子を目深にかぶって、さらにその上からマフラーをかぶった人影が現れた。夕暮れ迫る街中では、全開で怪しい。MIB矢追には、それが火星人であることが明らかだった。尾行開始。マフラー男は、徒歩で移動すると、ライブハウス『ローリング・サンダー』に入っていった。まだ営業前。店内では、その日に出演するバンドがリハーサルを行っているようだ。音が漏れ聞こえてくる。店に入られてしまうと、尾行はしづらい。しかし、矢追は尾行のプロだ。矢追は、モッズバンド然とした空気を全開で発散しつつ、「おはようございま〜す!」と元気よく店に入った。 『ローリング・サンダー』店主、富田林(通称:トミー)は、入口から入ってきたマフラー野郎を見て、警察に通報しようとした。しかし、顔の見えないその人物は、まるで音声ガイダンスのような棒読みでトミーにこう言ったのだ。「らいぶヤリタイデス。」トミーは呆気にとられた。彼は知る由もないが、相手は火星人である。マフラー男は、ポケットをもぞもぞと探り、トミーの鼻先に紙切れと1枚の写真、カセットテープを突き出した。紙切れには汚い字でこう書いてあった。『ばんどノナマエハ「まーずあたっく」カセイカラヤッテキタ サイコウニはーどこあデぷろぐれっしぶナ4ニン! ぼーかる:たっこんぐ、ぎたー:いかでびる、べーす:えびぞう、どらむ:かに』。写真には、魚介類の顔を持つ4人が写っていた。 トミーが写真から目を上げると、相手はマフラーを外し、帽子を脱いだ。現れたのは写真のままのタコ面! 「カリビアン!」トミーは驚いた。「こんなに巧妙なキャラ設定でくるバンドは始めてだ! それにしても、よくできた特殊メイクじゃないの。」トミーは、店の奥からテレコを引っ張り出し、カセットテープの音源をチェックした。「なんだ、これは!」その音は、どこかで聴いたメロディーなのだが、それを奏でる音はパノラマチックな雰囲気に溢れ、目の前に宇宙が広がるかのようだった。「君は一体...?」 少し離れたところに立って2人のやりとりを見ていた矢追の目が光った...。タコ面は急に声を上げた。「あの3人はどこにいるタコ!?」トミーの脳裏に衝撃が走った。さっきのメロディーは「冬のい(自粛)」だった! 火星からきた謎の魚介類バンドは、果たしてどんな結末を迎えるのか!? 次回へ続く! 21_1_2.png