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音楽コラム集|音楽知識系コラム

【コラム】ミュージシャンのための英会話 #10「留学/自己崩壊の勧め」/鈴木 koyu 浩

2011.01.05

先日、ジェット・エドワーズのグループで『アメリカン・エクスポ2010』(共同開催『アメリカ大学留学フェア』)に参加させていただきました。聞くところによると、最近は日本からアメリカに留学する人が減っているということで、留学経験のある私からするとちょっともったいないな、という気がしております。 アメリカに留学するには、アメリカが大好きでなければならない、ということはないと思います。国際的な影響力が以前よりは幾分弱まったとはいえ、未だに発明や産業において他国を圧倒して余りあるアメリカという国を体験してみる価値はあると思います(そう思って私もヨーロッパの友人達の意見を振り切ってアメリカに行ってみました)。 アメリカに限らず外国に住んだ場合、今まで自分が行ってきた作法や生活様式が通用しないという事実を日々体験しなくてはならないでしょう。日本にいるときは外国人に対して「ここは日本なんだから日本のやり方でやれ」なんて言っていた人も、海外に住むことによって「ここはアメリカ(中国)だからアメリカ(中国)のやり方でやれ」と言われた場合、意外とそうはすんなりできないことに気がつくはずです。そのような経験の中でこれまでに絶対だと思っていた自分の生活様式が、実は数多く存在する中のほんの一つでしかない、ということに思い至るかもしれません。そして、それはかなりの痛みを持った体験になることでしょう。 しかし、そのような自己崩壊の後、もう一度「自分とは何か」「自分の文化とは何か」を獲得する作業をしていくことはとても健康的なことだと思います。そのような自己相対化と他者の理解をもってすれば、世の中の問題も大分解決することと思います(国内・国外問わずに)。 英語のような言語はそのような体験を得るための重要なツールとなるわけです。留学などの外地の生活の中で日々苦闘しながら自分を再構築するには、そういった外国語が絶対に必要になる訳です。「外国に行って嫌な思いをするくらいなら、海外には行きたくない」という若者も最近はいるという話を聞くこともありますが、ちまちまと現状の自分を守ってもなあ、という気もします。留学で、一度、一気に自分を変革してみてはいかがでしょうか。 koyu125.jpg 鈴木 koyu 浩 黒人音楽から現代音楽までの領域で活動するベース奏者/プロデューサー。バークリー音楽大学入学を機にアメリカへ。その後のシカゴ生活を含め合計6年間滞米。98年より東京で活動。日本在住の外国人ミュージシャンとの共演、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド等海外公演多数。これまでの演奏についてはYouTubeのチャンネル www.youtube.com/koyubassを参照のこと。ノアミュージックスクール・ベース科講師。