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【ECO MUSIC】次世代アートを担う男、語る。 小林宏明氏インタビュー完全版 PART:2

2009.11.09

【「エコ」というとどのようなイメージをお持ちですか?】 郊外でフェスを開催すると、 やはり車で来る方が多いのでCO2が排出されますし、 ごみも出ますよね。エネルギーの消費は避けられないです。 そこで思うんですけど、 単純にエコというより、心のエコのほうが大事だなと。 環境負荷への配慮はもちろん大事だけど、 その配慮がもし人間の心に負担をかけるようならそれはエコではないと思う。 例えば、身体バランスによくないからといって、 ファーストフードを断って、食事法も変えて、食べたいものも食べずに、 苦しいならやめればいいのにやめない人がいるとしたら、 それはストイックというより病んでしまってる。 病んだ取り組みでは「エコ」じゃないと思うんです。 できる範囲のことを、持てる知識で実践していくのが 本当のエコなんじゃないですかね。 必要なエネルギーと不必要なエネルギーの消費バランスが 不均衡になっている現状を正すのが「エコ」だと思いますし、 行政的な義務付けも大事だけど、 それをやるという個人の心の問題のほうが大事だと思いますよ。 【何か具体的な取り組みはなさってますか?】 アル・ゴアが「不都合な真実」を発表してノーベル賞をとって以来、 「エコ」についての情報が既に溢れているような状況なので、 その取り組みが自分にどういう影響を与えるのか、 気持ち良いのかそうでないのかという点に判断基準を置いて、 納得したものに取り組んでいます。 専門知識を持ってる人と話をして行動に移すこともあります。 SOWでも専門の業者と提携して最低限の配慮はしています。 最低限の環境への配慮がクリアできないなら フェスはやるべきではないと思っていますので。 ひとつ面白かったのは、生ゴミを精製して作るゴミ袋があるんですけど、 それは本来は生ゴミの臭いの成分を消して作るものです。 そこで、わざと生ゴミの臭いを残したまま作って配布しました。 生ゴミからもゴミ袋は作れるという試みを 知ってもらいたいという理由からなんですけど。 かといって、そういった取り組みを殊更アピールするつもりはありません。 知りたい人に知ってもらえればそれでいいです。 さりげなくやっていきたいんですよね、 当たり前のことですから。 【「エコ」という取り組みで大事なことはなんでしょうか?】 僕にとって大事なのは心のエコだから、 つまんないことはやりたくないんですけど、 エコも知ってみれば見方が変わって面白くなります。 みなさんも知ろうとする努力は大事。 そして促すのは大事だが押し付けてはいけない。 その点で、ごみゼロナビゲーションをやっている羽仁さんは とてもおもしろい方だと思います。 羽仁さんは「ゴミ捨てるの面白くないし、つまんないし、やめようかと思ってる」 っていう言い方をするんですよね。 その考え方が面白くて、 羽仁さんを通して初めて環境問題を意識したと言ってもいいです。 エコでもなんでも面白くて気持ちいい魅力を持たせてしまうのが 羽仁さんのすごいところです。 羽仁さんとのコミュニケーションによってエコを知った。 エコでもアートでもそうした コミュニケーションを自分でどんどん拡げていって、 ひとつひとつ判断していくのが理想ですね。 ルールなんてないですから。 ただ、つまんないのはいやですね。 【そうですね、つまらないと続きませんから。】 また別の話になりますが、 プラスチックの自社リサイクルを促すために 一台2億円のプラスチックの再生装置を輸入している会社があるんです。 いま、ビニール袋と呼ばれているものの原材料って PP、プラスチックなんですよ。 国内のプラスチックゴミを海外に輸出して、 そのゴミを海外で精製して作ったビニール袋をさらにまた輸入してるんです。 もうそのシッピングの問題だけでムダってわかりますよね。 だから、自社のゴミを自社で精製してまたリサイクルすればいいんです。 そのための装置なんですけど、その装置はオーストリアから輸入していて、 どうせ同じヨーロッパだからとイタリアからワインも輸入してるんです。 理由はワインが好きだから。 ついでにマラソンが好きだからランナーがかぶる ビニール袋を再生プラスチックで国内で自社精製して作って、 湘南マラソン、東京マラソンで採用されたりもしていて。 エコを窮屈に考えずに楽しむ姿勢がそこにはありますよね。 自分の思考を少し変えるだけで、エコは誰でもできるというのを実践している。 音楽という分野なら、古い楽器なんかもメーカーが直接、 下取りすればいいんですよね。 下取りすれば新品が安くなるというような、 お互いが潤うシステムが整えば一歩前進だと思います。 【実際、楽器メーカーの取り組みの遅れは致命的だと思いますよ。 ところでPLSMISに置いていただいてるスティックペンはどう思われますか?】 スティックペンは単純に製品レベルがかなり高いと思いますよ。 そもそもデザインがかっこいいですよね。 細かいギミックの部分まで木を使ってあるので、 ぬくもりを感じながら使えるペンだと思いました。 【そこはデザイナーのこだわりなんですよ。】 こういうものってプレゼントとかで貰えるとうれしいじゃないですか。 それに、商品のひとつの切り口として ドラムスティックからできてるというのも面白いです。 いろんな人に手にとってもらえる機会を増やして、 もっと普及させることができるといいですね。 価格も決して高くはないと思います。 それだけのものがこのペンには、こめられてますよ。 【ありがとうございます。今後の活動はどのようなものですか?】 PLSMISは、年内は展示イベントでスケジュールがいっぱいです。 SOWに関しては1年、2年とやってきて、 もう僕らだけのものではないので 新旧のファンのみなさんにどういう影響を与えられるかを意識して、 そこは真摯に考えて、慎重に、かつ大胆に作っていけたらいいなと思っています。 僕らが発信したいものを、ゆるーいスタイルで発信していきたいです。 あとは、いろんな人たちと出会って面白いことをやりたいですね。 【今日は貴重なお時間をありがとうございました。】 ありがとうございました。 (2009年10月28日 於:PLSMIS 構成:NOAHBOOK 高橋真吾)