NOAHお笑い雑学王

PPAPに込められたエンターテイメント ~人々を楽しませ続ける仕掛け~

2016年、ピコ太郎の「PPAP」が日本を超え、世界中で大旋風を巻き起こした。1分余りの短い動画がYouTubeで公開され徐々に世間に浸透していき、ジャスティンビーバーがお気に入りの動画としてInstagramで紹介したことによって一気にPPAPの輪が世界に広がった。関連動画を含めると再生回数は2億回を突破している。

 

 

なぜPPAPはここまでの大流行を巻き起こすことができたのか。その1つとしてお笑い芸人のリズムネタで、誰でも真似ができるというのは大きな要因として考えられる。しかしそれだけではここまで世界的ヒットに繋がることははなかったのではないかと感じる。

そこでもう1つの要因として挙げられているのが、このバックで流れる音楽に世界中の人々をトリコにした仕掛けが詰まっているという点だ。この記事ではその音楽性に触れていきたい。

 

 

ピコ太郎また古坂大魔王の音楽性は、様々な音楽家が評価している。

2017年1月15日テレビ朝日系で放送された「関ジャム 完全燃SHOW」で人気のDJ「tofubeats」がPPAPの「音作り」について、プロの目線から詳しく解説した。そこでtofubeatsはPPAPで使われている“ある音”で「DJ諸氏がピコ太郎は只者ではないと感じたはずです」とコメントしている。その“ある音”というのが曲中の「ポーン」という音だ。この音の正体は、「TR-808」というイズムマシンに収録されているカウベルの音を電子的に再現した特徴的なサウンドである。

 

TR-808とは

画像引用 https://rollingstonejapan.com/articles/detail/27418/2/1/1

 

「TR-808」はRolandが1980年に発売したリズムマシンである。その独特の音色が正解中で支持され、現在でも多くのジャンルで欠かすことのできない「名機」と評価されている。

アナログ音源を採用しており、独特の太いキックの音色やスネア、カウベルなどのサウンドが魅力だ。

テクノ系プロデューサーのホアン・アトキンスも「TR-808」に魅了された1人だ。アトキンスが結成していた“Cybotron”の「Clear」という楽曲でいかにもTR-808らしいサウンドを聴くことができる。

 

 

また、テレビ朝日系「関ジャム 完全燃SHOW」2017年3月19日放送分では、古坂大魔王がピコ太郎の音の秘密をより詳しく話している。

「PPAP」のテンポはBPM136である。これは「マヌケさ」が醸し出されるテンポなのだという。コミカルな歌ネタとして世間で人気を博すのは、約BPM120~140テンポの曲が多い。このBPMこそ笑いを誘うための「マヌケさ」を醸し出すテンポなのだ。さらに、携帯電話で聴くことを前提にした音作りにもこだわったという。携帯電話はスピーカーの性能が貧弱なため、どうしても音にひずみが出てしまう。だから、聴くときにそれが出てしまっても曲のクオリティーが落ちないように、初めから聴きやすい程度のひずみをかけた音を作った。

上記以外にも

「マヌケさを出すためにリズム音を変化させずループさせる」

「曲に疾走感を出すために部分的にハイハットの音を抜く」

などといったピコ太郎がこだわり抜いた完成度の高いキャッチ―な音楽こそが、お笑い芸人のリズムネタという枠を超えて世界に広がった大きな要因になったのではないだろうか。

 

手洗いを推奨する新曲「PPAP-2020-」

 

新型ウイルスの感染が拡大する中、様々なアーティストがSNSを通してエンターテイメントを発信している。ピコ太郎もその一人だ。

大流行した「PPAP」の2020年バージョンとして「PPAP-2020-」をYouTubeに投稿した。この動画での振付は正しい手洗いを普及するために厚労省のガイドラインに沿って作られている。

 

 

ピコ太郎のコミカルな表情に目が行きがちだが、肝心なのは手の動きだ。手のひら・手の甲はもちろんのこと、指の根元と爪の間まで「Wash!Wash!」と繰り返される歌詞に合わせて1本1本丁寧に洗っているのだ。本人はこの動画を見た人々が自らの動きを真似し、少しでも感染予防対策に繋がればという想いから製作にあったのだという。その効果は絶大で、動画が公開された直後から有名アーティストやタレントたちがこの手洗いダンスを真似しSNSに投稿、そして拡散されるのであった。

この動画を見た視聴者の頭の中には「PPAP-2020-」の完成され尽くしたキャッチーなリズムと分かりやすい振り付けがしっかり焼きついた。さらには本来のPPAPの意味は「Pen Pineapple Apple Pen」であるが、「PPAP-2020-」では、最後綺麗になった両手を合わせ「Pray for People And Peace」(人々と平和のために祈る)と歌う。

 

自身のお笑いスキルと高い音楽性を活かし、世界中に旋風を巻き起こしたPPAPが今のこの状況下で形を変えて、新たな流行を生み出している。こういった粋な心遣いからの演出で今の自粛生活が明るくなる、これこそがエンタテイメントの醍醐味ではないだろうか。

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