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楽器NEWS|レコーディング

コンデンサーマイクの革命家 『ノイマン』の歴史と「TLM102」

2018.12.27

ノイマンの歴史

ノイマンは、1928年にゲオルグ・ノイマンによりベルリンで設立された、今年で90周年のオーディオ界のパイオニア的会社である。 設立した年に、世界初の量産型のコンデンサーマイク「CMV3」を発表した。 CMV3は、ベルリンオリンピック(1936年)などに使われ、当時のドイツ国民に慣れ親しまれた音色となっていた。 当時、限られた研究機関にしか置いてない専門機器だったコンデンサーマイクが、現在スタジオで気軽にレンタルできているのは、紛れもなくゲオルグ・ノイマンの功績だろう。 勢いに乗ったノイマンだったが、第二次世界大戦中に工場が壊されてしまい、またイチから再スタートすることになってしまった。 それらを乗り越えたノイマンは、1949年に伝説的なマイク「U47」を発表する。 このマイクは、当時大変高価なマイクだったが、世界中の音楽スタジオがこぞって導入したため、すぐに世界のスタンダードへとなっていった。 U47は、すばらしい音質はもちろんのこと、2つの指向性を切り替えられるスイッチが搭載されており、これは世界初の試みだった。 その後、U47の製造部品の生産が中止される事態に陥り、ノイマンはU47の生産を継続するために改良を迫られた。 そこから生み出されたのが、「U67」だ。U67は、U47で実現できなかった3つの指向性を切り替えるスイッチと-10dbPADを搭載したことで、革新的なマイクとして世間に発表された。 しかし、時代が真空管からトランジスタに移行する流れを受け、U67もトランジスタ化が検討され始めた。 その結果、U67は、電源供給に違いのある「U77」と「U87」というモデルに進化することになる。 U87の電源供給方法はファンタム電源で、その後ファンタム電源が主流になったことにより、U87は現在にも受け継がれている。

TLM102

今回紹介する「TLM102」は、そんなノイマン社から販売されているTLMシリーズのエントリーモデルになる。 TLMシリーズは、比較的新しいラインナップでありながら、さまざまなコンセプトのもと商品が展開されており、TLM102はその中でも安価に購入することができるモデルだ。 TLM102の一番の特徴は、そのコンパクトなボディと、グリル内にポップスクリーンを内蔵しているためボーカルやスピーチ録りに強いことだ。 それ以外にも、最大SPL(SPL=Sound Pressure Level)が144dBなので、パーカッションをはじめドラムなどの音の大きな楽器にも使うことができる。 音が歪みづらいので、初心者にも扱いやすいモデルだ。 TLM102は、その小さな見た目とは裏腹に、パワー感のある音が録れるマイクで、セッティング次第では数十万円するマイクと比べても遜色がない。 人気機種であるU87との違いだが、U87では指向性やPADやローカットがついてるのに対して、TLM102はその機能はついておらず単一指向性のマイクになる。 音質は、U87と比べて中域に特徴があると同時に心地よいコンプ感があり、同価格帯の他社マイクに比べるとワンランク上の音質が録れる。 ずばりTLM102は、ノイマンの音を取り入れたいと思ったときに、手が届きやすい価格帯であり、十分なクオリティの録音ができるため、初心者におすすめできるマイクだ。 サウンドスタジオノアでは、多くの店舗でTLM102を導入しているので、ぜひ一度ノイマンサウンドを試してみてほしい。