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音楽コラム集|From アメリカ

【コラム】ざっくりアメリカ 第5回「初めての人のアメリカブッキングマニュアル」

2017.07.05

今回は、マニュアルです。 余計なことは、書かないように頑張ります。 よろしくお願いいたします。 ●まずは、ツアールートを決めましょう。 どの土地から始めても良いですが、ツアー期間の中で、できるだけ遠くまで行って、ちゃんとツアーを開始した土地まで帰って来られるように予定を立てましょう。 具体的には、ググって1日で運転可能な距離を調べて、移動距離の計算をしましょう。 僕は、1日9時間までなら、いけると思いますが、1日5時間前後が疲れず理想です。 逆に、移動時間が1日1時間とか休みの日が多すぎたりだと、ツアー自体が中だるみしてメンバー間のケンカとかが発生するので注意。 たとえば、10日間のツアーですと、5日目あたりには中間点で折り返して帰って来なければなりません。 東海岸のニューヨークからツアーを始めるとするならば、ジョージアあたりまで5日で行って、土地がダブらないように行きと帰りを考えて帰ってくるのが、なんとなくのルートです。 ●いろいろな海外ツアー歴のある日本人バンドのホームページで、過去の彼らのアメリカでのライブ情報を調べましょう。 そして、①のツアールートに近い場所から少しずつ自分勝手なツアー予定を立てていきましょう。 注! 日本国内でメジャーで通っているバンドは、大体、赤字でアホみたいにデカイ箱でやっているので、情報としてタメにならないと思います。 トライしても無謀だと思いますが、それは個人的な意見なので、頑張る人は頑張ってください。 庶民的なツアールートは、こんな感じです。 僕のバンドの過去ライブ情報です。 http://otonanatrio.com/gig ●前途の日本人ツアーバンドたちの過去ログの中にある箱を調べ、その箱のホームページからブッキングのメールを調べてください。 そこの連絡先にメールでガンガン攻めていきましょう。 その辺りは英語で頑張ってください。 注! なんか、ライブハウスのページの中身をちゃんと読むと、面倒臭いシバリとかが書いてあったりします。 「過去に、ウチの箱でライブをやったことがある人のみメールしてください」とか、「30人以上動員できない場合はメールしないでください」とか、詳細を読めば読むほど難しいですが、ここは「下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる」で、無視して頑張ってください。 「日本人だったので、よくわかんなかったの。えへへ。」 目標は、ライブをやることです。 メールをしなかったら、ブッキングできません 。下手な鉄砲でも、撃ってみましょう。 変なシバリは、ただ単に文句を言われたくないので、ハードルを高めに設定しているだけです。 サンプルで送った音源とかが良かったら、普通にブッキングしてくれます。 僕には、ほかに「最初の一歩」の選択肢は思いつかないですね。 あるなら、その方法で頑張ってください。 応援します。 ●メールの本文です。 何月何日にライブしたいか、バンド名、ホームページ、連絡先、音源、ビデオ。 そのあたり全部を記載した本文を、自分の英語のレベルで書いてください。 ●1週間以内に連絡がない場合、もう1回①からやってみましょう。 それでも、箱が見つからない場合は、https://musiciansatlas.com/で、ほんのちょっとお金を払えば、アメリカ各地の音楽業界の連絡先すべが手に入ります。 このサイトは、お金を払わなくても、ある程度の情報は手に入ります。 思いっきりお金を払って全部の情報をもらっても、年間2万円ちょっとくらいです。 ほかにも、いろいろ似たようなサイト/サービスがあるので、ググってください。 良かったね、キレイにまとまって。 じゃあ、次回は「一歩を踏み出した後の現実」です。 実際にアメリカに行ったら、たくさん問題があって、XXX踏んだり、いろいろ大変って話です。 プロフィール 斉藤健太郎 ギタリスト。1974年生まれ。ベストヒットUSA等、80年代音楽テレビ番組の影響をモロに受け、アメリカ音楽に没頭。そんなこんなで、18歳のとき、米国西海岸の某音楽専門学校に入学するため、渡米。1年プログラムの米国音楽専門学校において、日本の常識と米国の常識の違いに戸惑って、自分の無能さに落ち込んだ挙句、一生懸命練習した結果、優秀生徒の一人として表彰される。その表彰状で、ニューヨークにある某音楽大学のジャズ科に、半ばハッタリを使って奨学金をもらい入学。在学中に、当時の有名ニューヨークジャズメンたちの切実な生活状況等々を目の当たりにし、「ジャズは、頑張っても売れない!」という理由で、ジャズ科の生徒2人を口説き、3人でパンクバンド(名前は秘密)を結成。唯一の日本人(英語に訛りがいっぱい)であるにも関わらず、ボーカルも担当。結成1ヶ月後あたりに、某インディーレーベルから、ほかのインストゥルメントプロジェクト(ジャズ)を買われた挙句、レーベルをちょっと騙してデビューアルバムを製作。ギターは、1日平均10時間くらい練習していたものの、歌なんて、ほとんど歌ったこともないのに、作ったデビューアルバムがアメリカCMJにて新作部門4位、全体チャート80位以内を記録。その後、調子に乗って、いろんなバンドで、米国、欧州、台湾、オーストラリア等をツアー。 現在は、OTONANA Trioを率い、2012年以降、5枚のフルアルバム発売。年間平均70回の興行をアメリカにて遂行中。 2017年は、グラミー賞受賞プロデューサーであるBob Cutarella氏を迎え、新譜の録音中。 公式サイト www.otonanatrio.com