音楽コラム集

【コラム】リハスタでできるレコーディング講座#7「ミックスダウン パン編」

 今回からミックスダウンを始めるにあたって知っておいてほしいお話をしていこうと思います。
 バラバラもしくは”せーの”で録ったドラム、ベース、ギター、キーボード、ボーカル等、曲のトラックの音を混ぜて2ミックスにまとめる作業がミックスダウンです。ミックスダウンと言っても、あれをやってはいけない! これはダメ! という何か制約がある訳ではなく基本的に自由です。
 曲を聴く側(リスナー)にどう聴かせるかによって音のミックス具合は変わってきますが、とりあえずバンドアンサンブルすべてが聴こえるようにしたいですよね。そのためには、いろいろな楽器の音量バランスを少しずつ調整して混ぜ合わせていくのですが、歌モノの曲だとやっぱりボーカルが中心になってきます。物語にたとえるなら、歌が主人公、その主人公を支えて引き立てる大事な脇役キャラクターたちが各楽器による音で主張やストーリー展開に節目を付けてくれたりします。
 ただ主人公の後ろにみんながいたら、主人公ばっかりが目立ってしまいます。そこで、各楽器の聴こえ方を”ガラリ”と変えられるアイテムがミキサーにはあります。それが、パン(Pan)です。
 パンは、音を左や右に振ることができて、楽器の立ち位置やいろいろな演出などができる要と言ってもいいと思います。たとえば、ドラムとベースをベーシックな土台として音を後ろに置き、パンで上手(かみて:右側)にギターを振り、パンで下手(しもて:左側)にキーボードを振ります。そして、センターにボーカルを持ってくると曲全体で大まかなステージを再現できたりします。全員がセンターにいたときは、各楽器の音が打ち消し合いマスキングされて聴きにくくなっていた音が、パンを使うと分離して何とも鮮明に聴こえるようになります。
 ほかには、たとえばCDなどでウインドチャイムとか波や鳥の音だったりが左から右に流れて聴こえたりする演出の音もパンで行われています。
 ミキサーのほかに、もちろん皆さんの持っているDAWソフトにもこのパンは付いています。

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 同じ曲でもミックスダウンする人によって音が全然違うのは、今回のパンのほかにEQ、コンプレッサー、フェーダーボリュームによる演出によります。次回は、これらのテーマでミックスダウンを掘り下げていきたいと思います。
 カッコいい作品になるように、いろいろなミックスダウンに挑戦してみてください。

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【解説エンジニア】川嶋 信博 Nobuhiro Kawashima
9月12日、仙台市に生まれる。中学生のとき、英語の授業でビリー・ジョエルを聴いて音楽に目覚める。2010年、エンジニアを目指し上京。レコーディングスタジオ「サウンドアーツ」に所属。シシドカフカ、FADE、LG MONKEES、PLASTIC TREE等様々なセッションに参加。リハーサルスタジオでのレコーディングなど、様々なシチュエーションで活躍している。