音楽コラム集

【コラム】リハスタでできるレコーディング講座#6「ボーカルレコーディング 実践編」

 前回までボーカルレコーディングのセッティングについて説明しました。今回は実際の作業について説明します。

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 大まかに録音レベルが決まり、ボーカリストも準備が整ったら、まずは1度曲を通して歌ってもらいます。そのときに、録音レベルは適正か、コンプレッサーの掛かり具合は適正か、EQ等の調整を確認します。ボーカリストにも、実際に歌う声量でモニターバランスを再調整してもらいます。基本的に、これらの調整は1回曲を通す間に済ませてしまいます。その後、ディレクター、ボーカリストと録音した音を聴き、マイクがボーカリストや曲に合っているかを確認します。

 こうして録音する準備ができたら、いよいよ本テイクを録音していきます。
 録り方は大まかに分けて3種類あります。
1. Aメロ、Bメロ、サビとセクションごとに分けて録音する方法
2.曲を通して歌い、気になる箇所だけを録りなおす方法
3.頭からOKテイクが録れるまで何度もやりなおしながら録音していく方法
 レコーディングの現場では、一般的に1の録り方をすることが多いです。この録り方のメリットは、各セクションごとに集中して録音できるため、ボーカリストがピッチやタイミングに細かい気配りができ、ディレクターやエンジニアも細かく指示できることです。曲の最後に声量が衰えてしまうことを防げるというメリットもあります。また、セクションごとに違うニュアンスを出しやすいので、セクションごとに大きく変わる曲では有効かもしれません。デメリットとしては、OKテイクをつなぎ合わせたときに、各セクションのニュアンスが変わり過ぎてしまい、曲として違和感を感じてしまうことがあることです。
 次に2の録り方ですが、曲を通して歌うことでニュアンスをつけやすくなります。Aメロからサビに向けて、物語を作って盛り上げていくことができるので、自然な仕上がりになります。1の録り方をする場合にも、1度か2度通して歌っておくと、先入観のない歌い方をしたテイクが録れるので、後で使えることがあります。1の録り方でOKテイクを作った後にこちらを聞いてみると、意外と作ったOKテイクに比べて自然でいいテイクが録れていることが多いのです。
 3の録り方は、ほかの2つの方法に比べて使われることが少ないですが、その都度、納得がいくまで録るので、あとでOKテイクのセレクトをすることがなく、録り終わったと同時に完成というメリットがあります。

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 いずれの録り方にも共通して、3〜7テイクを録っていいものが録れなければ、それ以降はそれ以上のものはなかなか録れることがないので、声の状態が良いときに曲を通して録っておくといいと思います。また、音楽は聞けば聞くほど主観的になってしまいますので、客観的に聞ける間に良いテイクを選択し、そして何よりボーカリストに負担の少ないボーカリストが歌いやすい環境を作ることが1番大切だと思います。

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