音楽コラム集

【コラム】テレビ音響効果の世界 テレビ番組における選曲の方法 その4

 今年の大雪はすごかったですね。ドラマの編集など、雪が残っているためにカットがつながらなくなってしまって、随分と苦労したようです。その点、ドキュメンタリーは、気にすることはありません。
 番組の選曲をするときに、まず初めに考えるのは、この番組がどういうスタンスで作られているのか、ということです。バラエティーなのかドキュメンタリーなのか、それとも情報番組なのか情報バラエティーなのか、はたまた報道番組なのか、などなど、見せ方の種類といったら千差万別です。そこをしっかり見極めておかないと、音楽が付いた番組を見た演出家から、「全体の音楽のイメージが違うんですが」などと言われてしまいます。
 テレビは時代とともに様々な表現スタイルを確立してきました。ドキュメンタリーといっても様々なスタイルがあって、1978年3月から始まった「川口宏探検隊」などはドキュメンタリーの形をまとったドラマのスタイルをとっています。また、バブルのころに多かったのは情報バラエティー的な番組で、「そこが知りたい」「なんたって好奇心」「追跡」など複数のネタをわかりやすくテンポ良く構成したドキュメンタリースタイルの情報番組です。このドキュメンタリーのスタイルの違いは、もはや制作する局の個性にまでなっています。わかりやすいのはNHKと民放の違いで、民放は多量の情報をわかりやすくテンポ良く見せています。逆に、NHKは、長期間にわたって取材したものを丁寧に構成しています。
 バブル以降に流行った温泉番組などといった旅番組も、ドキュメンタリーとは違ったスタイルの番組ですよね。これは情報量と情報の鮮度が重要で、その見せ方も、ゆったりのんびり見せるものから、お笑いタレントを使いグルメ情報もふんだんに入れてテンポ良く見せるものもなど様々です。
 ですから、選曲をする際に、番組がどういうスタイルで演出しているのかを打ち合わせの段階でしっかり確認しておくことが大切なのです。たとえば、綺麗な景色のシーンでテンポのゆっくりした音楽を付けたとして、もっとテンポを出してください、キレイな感じより楽しい感じのものがいいな、などとリクエストされるケースがあります。情報バラエティーで見せたいものを、アプローチを間違えて、ゆったり、じっくり見せる番組として音楽を選んでしまうと、最初から選曲をやり直し、なんてことになってしまいます。

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中島 克(なかじま まさる)
有限会社サウンド・デザイン・キュービック代表取締役。1985年、東京サウンドプロダクションを退社後、キュービックを設立。TSP在籍時には、テレビ朝日「川口探険隊」の選曲を担当。独立後は、「警視庁24時」「驚きももの木20世紀」「星新一のショートショート」などの番組も担当した。現在は、「美の巨人たち」「THE追跡」「Song to Soul」など楽曲制作も含め幅広く活動している。
[サウンド・デザイン・キュービック ]http://www.cubic-power.net