レコーディング

RMEを扱うシンタックスジャパンに聞く デジタル伝送に革命を起こした「MADI」とは!?

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 最近、雑誌やウェブ記事などで、「MADI」という言葉を多く聞くようになったが、「MADIってなに?」と思っている人も多いハズ。そこで、古くからMADIに特化した製品を扱うドイツのブランドRMEの販売代理店であるシンタックスジャパンのスタッフに、MADIとはなにかを聞いた。これを読めばMADIがいかにすごいものであるかがわかるだろう。

1本のケーブルで64チャンネル扱うことができる

—まず最初に、ズバリMADIとはなんでしょうか?
MADIとは、多チャンネルのデジタル信号を伝送する規格です。MADIは、Multichannel Audio Digital Interfaceの略で、読み方は「マディ」です。
—MADIの歴史と背景を教えてください。
MADIが最初に生まれたのは、1991年。世界中のレコーディングスタジオなどで使われているコンソールメーカーAMS/Neve、SSL、日本が世界に誇る企業Sony、三菱、そして世界各地に支部を有するオーディオ技術者、研究者など専門家の国際組織であるAESによって「Standard AES 10-1991」として定義されたのが始まりです。
少し高級なオーディオインターフェイスやプロが使う機材には、よくAES/EBUと書かれたデジタル信号の端子が搭載されていますが、もちろんこのAES/EBUという信号の規格も、AESという国際組織が定義したものです。
AES/EBU は1系統で2チャンネルを扱いますが、MADIは、このAES/EBU信号を28個並列させ、最大56チャンネルを1系統で伝送することができます。2001年には、さらに進化し、64チャンネルモードMADI-X(MADI-Extended)が正式に導入されました。これが現在一般に言うところのMADIという規格になります。
つまり、MADIとは、1本のケーブルで64チャンネル扱うことができる大変優れたデジタル伝送の規格なのです。

とてもECOな伝送方法

—同じチャンネル数の信号を、AES/EBUで送ったらどうなるでしょうか?
AES/EBUで使用するケーブルは、一般的には、3ピンのXLRタイプコネクタとインピーダンス110Ωのシールドツイストペアケーブルです。ですから、皆さんがスタジオなどでよく使うマイクケーブルと同じルックスをしています。
AES/EBUは、ケーブル1本で2チャンネルですから、64チャンネル送ろうと思うと、32本のケーブルが必要になります。インプットだけで32本ですので、アウトプットもしたい場合は、さらに32本。トータル64本のケーブルが必要になります。さらに1本のケーブルで1チャンネルしか伝送できないアナログケーブルで考えてみると、ケーブル数は2倍の128本になります。
これだけの数のケーブルを用意するとなると、相当なお金がかかります。そのうえ、材料として銅線が使われていますし、ケーブルの両端には、それぞれ金属のXLRコネクターが付いているので、その総重量はとんでもないものになります。これでは、現場での結線作業も大変です。当然ケーブルの接続接点も多くなり、ミスの許されないプロの現場には導入のリスクが高過ぎます。
対してMADIは、1本のケーブルで64チャンネルの伝送ができるので、アウトプットが必要な場合でも、たった2本のケーブルをつなぐだけでOKです。ケーブルの種類は、75 Ωの同軸ケーブル(標準のBNCケーブル)、またはオプティカルファイバー・ケーブル(光ケーブル)です。
つまり、MADIは、従来のアナログ・マルチケーブルによる伝送に比べて、低コスト、容易なメンテナンス、より高い柔軟性で効率的に送ることができる、とてもECOな伝送方法なのです。もちろん、内部に流れている信号はAES/EBUと同等なものなので、サウンドクオリティも完全プロレベルです。
当然、昨今標準となりつつある、96kHz、192kHzといったハイサンプリングレートでの伝送も可能です。44.1kHz/
48kHzの場合64チャンネル、96kHzの場合32チャンネル、192kHzの場合16チャンネルのオーディオ伝送に対応しています。

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最大2kmという長距離伝送が可能

—ほかに、MADIの特徴はありますか。
長距離伝送が可能、という点も見逃せません。
コアキシャル(75Ω、BNC)ケーブルで、最大100m。そしてなんと、 オプティカル(光)ファイバーを使えば、最大2kmという長距離の伝送が可能なのです。
もちろん、小規模なスタジオなどでは、2kmもの距離を伝送する必要性はないのですが、大きなスタジアムでのライブでは、ステージからPA卓まで、さらにライブ中継がある場合は、スタジアムの外に配置されている中継車まで、相当な距離を伝送する必要があり、そういった現場では、MADIの長距離伝送が非常に役に立ちます。そのため、現在では、とくにPA卓を扱うメーカー、そして、ライブ録音を行う機材を扱うメーカーで、多くMADIが採用されています。
現在では主に、Avid Technology、Merging、Lawo、YAMAHA、Stagetec、Studer、DiGiCo/Soundtracs、Fairlight、GENEX、Innovason、Otari、Publison、Soundscape、J?nger、Sony、Cadac、Axon、AMS/Neve、Solid State Logicといった様々なプロオーディオのメーカーがMADIを導入しています。
もちろんホームスタジオや、中規模から大規模の録音スタジオでもMADIはその実力を発揮します。最近は、コンピュータの処理速度が飛躍的に向上したことにより、録音ソフトの中で扱えるトラックも相当な数となり、100トラックくらいは当たり前に使うようになりました。そういった多チャンネルの伝送は、やはりMADIでないとケーブルの取り回しが非常に困難です。
また、それほど多くのトラックを伝送する必要のないホームスタジオにおいても、実際の制作に必要となるチャンネル以外に、トークバックのシステムなどスタジオ内の様々な雑多なケーブルをすべてMADIケーブル1本でまかなうことができるため、非常にスッキリとした配線が可能です。
なお、RMEブランドのMADI機材は、様々なMADI機材の中でもとくに技術力が高く、SteadyClockなどMADIの優位性を際たたせる独自のソリューションを搭載しています。

 RMEにはMADI機器以外でも、Fireface UFX、Fireface UCX、Babyfaceといった音質に関して非常に高い評価を受けているオー ディオインターフェイスがある。そして、それらの製品にもMADI伝送で培った高い技術が惜しみなく注ぎ込まれている。
サウンドスタジオノアでは、そのRMEのインターフェイスを全店でレンタルしている。世界最先端をいくRMEブランドの実力を、ぜひ実際のレコーディングで体感してほしい。

■RME Fireface UCX
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■RME Fireface UC
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■RME Fireface UFX (吉祥寺店GSst、野方店ASst、都立大店Piano-Control Roomのみ)
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RME製品に関する詳細は下記まで。
シンタックスジャパン http://www.synthax.jp/