編集部コラム

NOAH BOOKに再登場!石川浩司氏(元たま)に聞く セルフ・レコーディングの醍醐味!

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 伝説のバンド、たまのボーカル/パーカッション担当として注目を浴び、たま解散後も、パスカルズ、ホルモン鉄道などのメンバーとして、そしてソロのミュージシャンとして精力的に活動している石川浩司氏。その石川氏が、10年ぶりに新録のソロ音源を、サウンドスタジオノアのスタジオを利用しセルフ・レコーディング!
石川氏と、今回、共同で作業をしているエンジニアのとむとむ氏の両名に話を聞いた。

ー10年ぶりのソロ作ということですが、今回は新しい試みだそうですね。
石川浩司(以下、石川):配信サイト「ウキュピレコード」を開設して、そこで毎月1曲ずつ新録音源をアップしていって、1年で12曲という予定です。新しい曲は、基本的にギター1本とかアカペラで、声以外はほとんど音がないような感じで作っています。アルバム1枚、まとめてバーっと録るぞ! っていう感じではなく、気負わずにちょぼちょぼ録っていく感じなので、気は楽です!

ー配信されるとなると石川さんの音楽がより身近になりますね! ところで、お二人で共同作業をなさっていかがですか?
とむとむ:今回で3回目ですが、エンジニア的に言えば、どんなマイクが合うか、というようなところがわかってきました。回を重ねるごとに考えていることなどがわかってきたし、石川さんは人柄がすごくいい方で、仕事としてやりやすいですね。
石川:笑顔の裏の…ブラックなところとかね…。
とむとむ:実は本気で笑ってないのかな? とか!

ーレコーディングにあたって、石川さんはどんな点に注意していますか?
石川:とくにギター。バンドではパーカッションがメインなのですが、たまのメンバーとやっていたときはみんな弾き語りの人たちなので、自分が一番ギターがヘタで太鼓に回ったなんてことがありまして。でも、ソロとなるとギターも弾かなくちゃいけない。��ヘタなのが極力バレないように�≠ニ注意してギターを弾いていますが、バレると思います…ハイ。

ーその場のハプニングも録り込みますか?
石川:そうですね、今日も2曲録りましたが、2曲目のアカペラはサビ以外のメロディがほとんど決まってないので、1テイク目と2テイク目が全然違っています!

ーエンジニアさん泣かせですね。
とむとむ:そうですねぇ。でも、テイクごとに想像を超えたパフォーマンスを見せていただけるので、すごく楽しいです。刺激はありますね。仮ミックスの段階でも、テイク1とテイク2で同じエフェクターの設定は通用しないぞ、とか。どのテイクを採用するか選定するのも、毎回みんなで悩んでいます。
石川:どうしても、活動がライブ中心なので、その場そのときの感じになるので…。たとえば、1番でいつもと違った歌い方をしちゃうと、2番もそれに沿って変化する。自分で意識しているところと、していないところがあったりして、同じようにはいきませんねー、ハハ。
とむとむ:最初は SHUREのSM58でライブっぽく録ってみて、次にボーカル用のコンデンサマイクで録ってみて、やっぱりキレイすぎるからSM58に戻してみて、と試してきました。石川さんの声の太さ、その場のノリ、ライブっぽさには、コンデンサよりSM58のほうが向いていると感じましたね。ノリ、心情などが、素直にバーンと出てらっしゃる感じなので、作り込むよりは、ライブハウス的なノリが出ればいいな、と思っています。

ーレコーディングとライブはあえて線引きしない、ということですか?
石川:やっぱりどうしても歌がメインになると…器用に分けられないですよねー。

ープロ仕様のレコスタと、リハスタでのセルフ・レコーディングで感じる違いはなんでしょうか?
とむとむ:ブースとスタジオで分かれずに、僕も一緒にスタジオの中に入るので、ガラス越しで話すレコスタより、一緒に作業をしている感覚がずっと強いです。
石川:そうだね。さっき、ぼくのくだらない歌を録っているとき、一生懸命、笑いをこらえていたね! 笑い声が入らないように!
とむとむ:もう必死でしたよ! 俺はクールな人間だって自分に言い聞かせて耐えました! でも、ブースで分かれてしまうと、マイクを通した声をモニタリングしながら、今の状態を探ることになります。今回みたいにスタジオに入れば、ダイレクトに口から出た振動が耳に入ってきて、息遣いも全部聞こえてくる。とくに今回のようなレコーディングには、この作業方法がとても合っているなぁというのを、僕は、すごく肌で感じていますね。バンドでは難しいですが。

ー今回の配信には、過去の音源も含まれるのですか?
石川:そもそもは、廃盤になった僕のソロアルバム『おいしいうそがいっぱい』を配信するだけの予定でした。廃盤だけど聴きたいという方が結構いらっしゃって。かといって、CDを再プレスするにもコストがかかる。そこで、「そうだ配信だ!」と。音源をそのまま出せて、売れなくてもリスクがない。そしたらマネージャーから、「新録も配信してサイトを活性化させましょう!」と…。で、”素直な僕”はそれに従っている、という流れです。
ちなみに廃盤になったアルバムは、僕がカセットテープに録音した曲をライオン・メリィさんに丸投げして、アレンジ及び演奏を全部1人でやってもらって作りました。名義上は僕のソロアルバムですが、実質的には僕とライオン・メリィさんの作品という感じです。

ー石川さんは、ご自身でカオスなホームページを管理されていますね。そこで石川さんの著作を読ませていただきました。
石川:その本もね、廃盤のCDと同じで、絶版になっちゃって。僕としてはお金が入らなくてもいいから、せっかく書いたからにはみんなに読んでほしくて、出版社に許可をとって全文アップして無料で読めるようにしました。
でも、音楽のほうは、少しは回収できたらいいかなって思っています。

ーとても楽しみです!
石川:それと、新録音源はとてもシンプルですが、自分の中では一度完成しているものです。でもそれは、あくまでも自分の中での完成です。
そこで、配信が始まったら、その新録音源のアレンジコンテストじゃないけど、好きにアレンジしてもらって、音を付けてもらえたらなって思っています。今は音楽ソフトが充実して、楽器が演奏できなくても、音を重ねたり、アレンジはできるという方、多いじゃないですか。 だから、聴いてもらって、音を付けてもらって、というコミュニケーションを通して、新たなものがまた生まれるかなぁと。ほかの方の思いもかけないアレンジで、いくらでもかわれる要素があるので、おもしろい作品が集まったら、それらを聴いてもらえる場を作れたらな、と。

ーみんなのために遊び場を作っているみたいですね。
石川:とにかくホームページは遊びで埋めつくしたい…。遊び以外のことは極力しないので、遊びをなんとかうまく金にかえられないか、と。ハハハ。だってね、音楽だって最初は趣味で、遊びで始めているわけですからね。

ーそれは大事なことだと思います! 本日は有難うございました。

石川浩司氏プロフィール
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たまのボーカル・パーカッション担当としてイカ天で注目を浴び、『さよなら人類』でメジャーデビュー。自主レーベル「地球レコード」を開設するなどマイペースに活動を続けるが、2003年に解散。
その後、自身のソロ活動、孤高のミュージシャン大谷氏とのデュオであるホルモン鉄道、そして海外での評価も高いプチオーケストラバンドのパスカルズ。
そのほか、書籍、映画出演、レンタルボックス型アートギャラリーの先駆けであるニヒル牛、ニヒル牛2のプロデュースなど活動の幅を広げ、現在に至る。
たまの解散ライブ以来、ランニングに袖を通してこなかったが、本年、10年ぶりにランニングが復活。50歳を過ぎて、ますますパンクでキッチュな石川浩司にご期待ください!
サイトURL:
「ウキュピレコード」http://ukyup.official.jp
「石川浩司のひとりでアッハッハー」http://ukyup.sitemix.jp/

とむとむ氏プロフィール
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フリーランス・レコーディングエンジニア。
リハーサルスタジオなど、場所を選ばず機材を持ち込んでレコーディングする。
「予算に余裕はないけれど、納得のいく音源を作って活動の幅を広げたい!」そんなミュージシャンに向けて、コストパフォーマンスの高いレコーディングサービスを提供している。
サイトURL:
http://sonicwebstudio.ame-zaiku.com/