音楽コラム集

【コラム】ミュージシャンのための英会話 #19 「英語脳へ」

 一日の大半を英語で生活している私にとって、「英語ができない」という状態を実感することはもはやできないのですが(もちろん英語が完璧だというわけではないです)、最近勉強を再開したフランス語では、言葉がわからないという状況を体験しています。
 スマートフォーンで Radio France International を、 朝と夜、家と仕事場の往復の際に聞いております。朝30分も聞き続けると、さすがに頭がフランス語化するのですが、夜また聞くときには、すっかりその感覚を忘れていて、そのサウンドにびっくりするほどの違和感があります。つまり、私の脳は、まだまだこの言語に馴染んでいないのです(それでも1カ月で、だいぶ聞き取れるようにはなってきましたが)。
 音声を聞くだけで言語習得ができるのか、という意見もあるでしょうが、日本で戦後50年以上続いている、非ネイティブの教師による文法中心の英語指導法は、驚くほど壮大な失敗に終わっているのですから、これからは音声中心のアプローチに切り替えてもいいと思います。これは、ギターの弾き方の本を読むよりは、すぐにバンドを始めたほうが効果的なのと似ているかもしれません。
 違和感がない程度にまで脳を英語に馴らすには、「英語を聞き続ける」という方法以外に何があるでしょうか? たとえば、日本人同士で英語を話すというのはどうでしょうか。バイリンガルの日本人同士が話しているときに、英語しかわからない人が会話に参加した場合、言語を日本語から英語に切り替えるのが普通です。つまり、先ほどまで日本語で話していた相手に対して英語で話しかけるわけです。私の極めて私的な体験ですが、英語を習得した人々は、そのような言語の切り替えに拒否感が少ないように思います(英語を共通語化した日本企業においては、そのような状況が起こっているわけですけどね)。
 日本語話者と英語で話すときの気恥ずかしさの原因が何なのか私にはよくわかりませんが、そのような状況で英語を発するという行為が上達の大きな要素であるように思えます(科学的な根拠はないです)。
【おまけ】 私がアメリカに着いてすぐ、会話に頻出するけれど意味が分からなかったものをいくつか挙げます。
I am feeling vulnerable. / It bothers me. / It sounded so nebulous. / I was bent out of shape….
 これらの言葉を、ぴったり日本語に訳すのは、ちょっと難しいですね。Google等で調べてみてください。だいたいの雰囲気はわかると思います。今は、日本の学校でも、このようなフレーズを教えているのでしょうかね。よく使われている言葉なのですけどね。

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鈴木 koyu 浩
ベース奏者・翻訳家。
バークリー音楽大学入学を機にアメリカへ。その後のシカゴ生活を含め合計6年間滞米。U2や ボブ・ディランなどのプロデューサー、ダニエル・ラノワの自伝『ソウル・マイニング』(2013年3月みすず書房より出版)を翻訳。ノアミュージックスクール・ベー ス科講師。
www.youtube.com/koyubass