音楽コラム集

【コラム】テレビ音響効果の世界 第1回「映画は足し算、テレビは引き算」

第1回「映画は足し算、テレビは引き算」

 今回から、音効さんがどうやってSEや音楽を付けてるか、その裏技など、テレビの音響効果のHow toについて話していきます。皆さんが友達の結婚式のビデオを作ったりするときに役立つといいかなと思ってます。

 ところで、テレビと映画の音の付け方の違いってなんだかわかりますか?
 実は大きな違いがあるんです。それは「足し算」と「引き算」、つまり音を足すのか引くのかということです。
 映画はフィルムカメラで撮影しますが(最近は映画もビデオカメラを使用することが多くなりましたが)、テレビはビデオカメラです。
 フィルムカメラの場合、シンクロノイズ(カメラを回したときのセリフやノイズ)を別のレコーダーで録音し、あとでタイムコードという信号で映像と合わせるわけです。
 一方、テレビはビデオカメラで撮影するので、カメラを回せばその周囲の音が自動的に録音されます。撮った映像を再生すれば音も入ってるわけです。
 音の設計をするにあたって、映画はまず始めに音を足すこと、どこにどんな音を付けるのかを考える。
 一方、テレビはシンクロノイズが入ってるので、必要のない音を引き算することを考えるわけです。
 たとえば、女の人がハイヒールで歩道を歩くアップの画があるとします。映画では当然音がないですから、まずハイヒールのコツコツという音から付けていきます。しかしテレビだと音は入ってる。ただ街のノイズやさまざまな音が入ってるため、ハイヒールのコツコツがクリアには聞こえなかったりします。だったらそのカットの音は引いて付け直したほうがいいわけです。映画は映像を見たときに、欲しい音から付けていく。テレビはシンクロノイズがあるぶん、そこに気がつかないことが多いのです。
 最初に音の設計を考えるとき、まず音を絞ってみます。このカットはこんな音を付けたらおもしろそうだとか、常識にとらわれない発想が大事です。

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中島 克(なかじま まさる)
有限会社サウンド・デザイン・キュービック代表取締役。1985年、東京サウンドプロダクションを退社後、キュービックを設立。TSP在籍時には、テレビ朝日「川口探険隊」の選曲を担当。独立後は、「今夜は好奇心」 「驚き桃の木20世紀」などの番組も担当した。現在は「星新一のショートショート」「美の巨人」など楽曲制作も含め幅広く活動している。
[サウンド・デザイン・キュービック ]http://www.cubic-power.net
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http://odate-movie.jp/hana

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