音楽コラム集

【コラム】ミュージシャンのための英会話 #13「Take Five!」

 今回は数字にまつわる表現を。
 リハーサルをしていると「Let’s take five!」と言われることがあります。初めて言われたときは意味がわからず、デイブ・ブルーベックのジャズの5拍子の名曲『Take Five』のことかと思いました。でもその言葉の後に、皆が楽器を下ろして休憩に向かうことを見て、「ああ(5分間)休憩をするってことね」と理解しました。
 それから演奏後に「Give me five!」と言うこともありますね。これは「ハイタッチをしよう!」という意味です。これを言われたあとにハイタッチをしないとせっかくの言葉を無視したようでかなりきまりが悪くなるので注意。ちなみに「ハイタッチ」はおそらく和製英語。私の経験ではみな「high five」と言っておりました。
 もうひとつの和製英語が「フォービート」。ジャズの最も一般的なリズム様式を指す言葉ですが、これは英語では「swing(feel)」となります。「フォービート」ではまったく通じないので注意が必要です。
 拍子の言い方も確認しておきましょう。普通の分数のときと同じですが、英語では分子が先、分母が後です。つまり四分の三拍子は「three four」、八分の六は「six eight」となります。
 ひとつおまけ。音楽用語ではありませんが、日常会話で「catch twenty-two」という表現を結構聞きます。これはニッチもサッチもいかない堂々巡りの状況を指すことばです。たとえば、ある業界に就職するのに「経験者募集」という条件しかなかった場合、その業界には就職できないので、いつまでたっても経験者にはなれない(だから就職もできない)というような状態です。私がこの表現を初めて聞いたのはバークリー音大の授業中。とても印象的な言い回しなので耳に残りましたが、その後しょっちゅう耳にするようになりました。元々は小説のタイトルなので、スラングというよりはちょっと知的な言い回しに感じられます。
 もうひとつおまけ。おそらく10年くらい前から出て来た言い回しだと思いますが、「twenty-four seven (24/7)」というのもあります。これは1日24時間週7日、つまり休日・休業時間なしという意味です。テレビのCMをはじめ、サービス業でよく聞きますね。ちょっと気の利いたスラングとして登場した感じがしましたが、その後すっかり定着しているようです。

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鈴木 koyu 浩
黒人音楽から現代音楽までの領域で活動するベース奏者でプロデューサー。バークリー音楽大学入学を機にアメリカへ。その後のシカゴ生活を含め合計6年間滞米。98年より東京で活動。日本在住の外国人ミュージシャンとの共演、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド等海外公演多数。これまでの演奏についてはYouTubeのチャンネルを参照のこと。ノアミュージックスクール・ベース科講師。
www.youtube.com/koyubass