音楽コラム集

【コラム】ゆる〜いヒットの作り方 #11 「等身大のメッセージを伝えよう」

 日本を代表する映画監督、山田洋次さんが、今年12月に公開予定だった新作「東京物語」の制作延期を決定。これまで経験したことのない大きな震災を経験し、変化した東京の人々の価値観をリアルに描きたいとの思いで別の企画に取り組むことになり、監督自ら「東京物語」の制作を延期することにしたのだそうです。このニュースは一瞬、私の目を引きました。
 映画界のみならず、音楽アーティストの表現活動にも震災の大きな影響が見られます。桑田佳祐さんやミスチルの発表したチャリティーソングは心を打つものがありました。斉藤和義さんが、本人のヒット曲の替え歌で反原発を訴えた姿は、非常にショッキングでした。
 これから世の中に出てくる作品は、大きく変わることでしょう。震災を経て、人々の価値観が変わり、アーティスト(ソングライターなど)達の着眼点や表現そのものにも大きな影響がありました。プロ・アマを問わず、アーティスト一人ひとりが状況を真剣に受け止め、大なり小なり自分の経験や気持ちを表現し、自己発信をし始めました。
 歌は、世の中を映す鏡であり、世の中を測るバロメーター。アーティスト自身が、自分の思ったことを素直に表現して、等身大のメッセージを伝える。ビッグアーティストはグローバルなテーマを、若いアマチュアのミュージシャンには若々しくエネルギッシュな表現を。
 どんな表現でも、自由に表現してほしいと思います。でもそのときに、決して背伸びをしたり無理をしたりせず、等身大の表現を心がけてほしいと思っています。身体の中からふつふつと湧き上がってくるメッセージ。それこそが人を動かす原動力となり、多くの人の心をとらえるヒットソングになるのではないでしょうか。

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マサハラタニ
Gibsonブルースギターコンテストグランプリ受賞。数々の音楽ワークに携わった後、CM 音楽プロデューサーに転身。代表作は任天堂DS、ミツカン酢など。作編曲や歌手、ギターインストラクターとしても活躍中。
http://jp.myspace.com/masaharatani