レコーディング

【インタビュー】エンジニアインタビュー #1

「サウンドアーツ」でレコーディングしたエンジニアのインタビューをシリーズでお届けします。「サウンドアーツ」はサウンドスタジオノアが運営している本格的レコーディングスタジオです。
第1回目の今回は、約1カ月におよんだSCANDALのアルバムのレコーディングを手がけたエンジニア兼重哲哉氏です。

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兼重哲哉プロフィール
1979.4.7生まれ。大学卒業後、WHITEBASE STUDIOにてキャリアをスタート。アシスタントエンジニアとして、数多くのアーティストのセッションを経験し、2006年、TOM・TOM STUDIO設立に参加。同スタジオのチーフエンジニアに就任。2008年6月より独立し、現在はフリーランスで活動中。参加作品は、電気グルーヴ、NONA REEVES、i-dep、HALCALI、SUPER BEAVER、八十八ヶ所巡礼、and more。

—まず、今回のプロジェクトに参加された経緯についてお聞かせください。
よく僕がお仕事させていただいているNONA REEVESの西寺郷太さんがHALCALIをプロデュースすることになって、そのプロジェクトに昨年参加させてもらったのがきっかけですね。そのときのディレクターが、SCANDALの担当もしていたEPICの小川さんで、今回につながっていった感じです。
小川さんとは10年近く前、僕がアシアシ(アシスタントのアシスタント)の時代にすでにお会いはしていて、こうして再会できているのが、本当に不思議な気持ちですね。

—スタジオ内の各ブースは、どのように活用されたのでしょうか?
実は、今回が初対面の方ばかりの現場で、どういった流れになるのか最初はまったく分からなくて…。でも、作業工程表は結構綿密に組まれていましたね。それを見るといろんな作業が行ったり来たりすると思ったので、やりたいことがあったらすぐに対応できるように、最初にしっかりセッティングをさせてもらいました。
スタジオ内のことはアシスタントの方に聞くのが一番なので、担当してくれたサウンドアーツの田本くんと相談して決めていきました。
今回はアルバムのレコーディングなので、曲によって雰囲気が変わってくると予想されたので、触れ幅を考えてセッティングさせてもらいました。
ドラムに関しては、以前ここでお仕事させていただいたときに、ライブ(響く)な印象が強かったので、割と響きが少ない入り口側にガラス面を背に組んでみました。ガラス面を毛布で覆ってしまえばデッド(響かない)に、毛布を外せばすぐにライブな雰囲気にも対応できますよね。天上も低いので自然な感じがいいと思いました。

—今回のレコーディングで最もこだわったのは、どんな点ですか?
アルバムのレコーディングだったので、とにかくフレキシブルに対応することですね。
エンジニアのエゴは一切捨て、音色を作る時間はゼロにしようと思ってました。メンバーが演奏する時間を減らしたくなかったんですよね。デモの段階やちょっと練習しているときの雰囲気で、どういった感じにしたいのかを察知して、先にいくつか音色を作っておきました。どんな曲調でもすぐに対応できるように。

—アーティストに対して、とくに留意した点、配慮した点などありますか?
今回に限らず、「アーティストのいいテイクが素早く出せる環境を作る」 ということですね。そのためには 「やりたい!」 と思った瞬間に録るのが一番じゃないかなって。やっぱり 「ちょっと一回音ください」 って言われたりするのは、プレイヤーは嫌だと思うんです。
レコーディングも生放送やライブと同じで、連動性の中で生まれるんですよね。何度やっても100%の演奏をする百戦錬磨のスタジオミュージシャンとバンドではやっぱり違うので。
でも、今回はメンバーのがんばりに尽きますね。ドラムのRINAちゃんはめちゃくちゃ根性があるし、ボーカルのHARUNAちゃんは、ちょっとアドバイスするとすぐ吸収してテイクに反映するし、ギターのMAMIちゃんとベースのTOMOMIちゃんの感性と表現力にも本当に驚きました。

—マイクについて、お気に入りの1本を教えてください。
TELEFUNKENのELAM 251Eです。キャラクター的には、抜けはシルキーっぽい印象で中域がしっかり録れる感じですね。
800G(SONY)は抜けは良いけどギラギラした印象だったり、67(NEUMANN)だと中域はしっかりとれるけど抜けがイマイチだったり、その点ELAM251Eはすごくバランスがいいと思います。

—好きな定番機材、今後使いたい機材を教えてください。
HAだとNEVE系が好きですね。あとはTELEFUNKENのチューブ系です。今回も持ち込んでスネアにV72を使いました。基本的に定番の物が好きですね。

—レコーディングエンジニアという職業を選んだ理由、レコーディングエンジニアの魅力についてお聞かせください。
魅力はやっぱり物作りに携われるというのが大きいと思います。
選んだきっかけは、学生時代にやっていたバンドですね。自分たちでレコーディングをしてみたときに気付いたんですけど、演奏するよりも調整をしているほうが楽しかったんです。自分はギターをしていたんですけど、録る作業のほうが楽しくて代わりにボーカルの人に弾いてもらっちゃうくらい。裏方的なほうが好きだったんでしょうね。
もともと、漠然と物作りの仕事がしたいと思っていて、そこに趣味の「音楽」 を加えて考えているうちに、エンジニアという職業に行き着いた感じです。
レコーディングエンジニアにもいろいろなタイプがあると思うんですけど、割と僕は 「職人的」 な仕事だと思っています。極論ですけど「結局最後までエンジニアさんが何やってるのかは分からなかったけど、作業は順調に進んだな」と思われるのがベストだと思ってるんです。「エンジニアさん、ありがとうございます!」 って露骨に褒められちゃうやり方は、多分主張し過ぎなのかなって思うんです。エンジニアの立ち位置はそこなのかなと思います。

—最後に、最近のお気に入りのアルバムを教えてください。
THE PAINS OF BEING PURE AT HEARTの 「BELONG」 。今年出たセカンドアルバムなんですけどオススメですね。
ミックスがアラン・モルダーって方なんですけど、U2や最近だとアークティックモンキーズなんかをやってらっしゃいますね。かっこいいですよ。エンジニア的な 「この音カッコいい」 っていう聴き方じゃなくて、パッと聴いて、素直に 「カッコいい」 と思える感性は残しておきたいですよね。

【今回の作品】

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「BABY ACTION」SCANDAL
2011. 8. 10 Release

進化系ガールズバンドSCANDAL待望の3rdアルバム! ヒットシングル 「スキャンダルなんてブッ飛ばせ」 「Pride」 「ハルカ」、そして7月27日発売の 「LOVE SURVIVE」 の4曲を含む、最強の豪華盤!! 完全生産限定盤には、ロングインタビューと撮り下ろし写真満載の超貴重マガジン付き! この初回生産限定盤は、ここでしか見られない幻の曲 「SCANDALのテーマ」 のミュージックビデオと5月から始まった全国Zeppツアーのドキュメントドッキリ映像も収録したDVD付き!
通常盤初回仕様には、東京・大阪で開催される購入者特典イベントの応募ハガキ付き! 2008年10月の衝撃のデビュー以来、全力で走りぬけ成長してきたSCANDALの勢いをそのまま詰め込んだ1枚!