音楽コラム集

【インタビュー】映画と音楽 第10回「たまの映画」 その3(最終回)

映画研究部NOAH Interview!
第10回 「たまの映画」
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「たまの映画」公開記念! 石川浩司氏インタビュー! その3(最終回)

興奮のあまり暴走してしまった、筆者。反省を込めて話を映画に戻しました。
石川さんから、すべてのバンドマンへのメッセージ。この映画に込めた思いとは!
また、「たまの映画」を企画しプロデューサーも務める三輪麻由子さんも交えてお話をうかがいました!

—ありのままの今を切り取っていくスタイルは、素晴らしいと思いました。
監督が、そもそもたまをろくに知らなかったっていうのもあってね。あんまり監督がファンだと、いいとこだけを切り取ってしまうだろうし。そうなるとファンの人はいいけど、それ以外の人はあんまり面白くないね。

—今の皆さんから無理やり「たま」らしさを引っ張り出そうとする部分が出てきてしまうかもしれませんね。
そうそう。

—そこは若い監督さんの持ってる距離感っていうのが、離れすぎず近すぎずで良かったのかもしれませんね。
そこは、よく言われます。

—あとインタビューのときも、内容的に聞きづらい質問を、そのまま、ものすごく聞きづらそうにきいて、滝本さんに「ちょっと意味わかんない」って言われて、あたふたするあたり。”監督さん、いい人なんだな”っていうのが伝わってきました。
はは、お金の話のところね。

—逆にこういう方だから、「たまの映画」を撮れたんだと思います。あんまり押せ押せで来られるよりかは、淡々とした取材で良かったですか?
うん、そうそう良かった。普通にライブに来て、そのあとの打ち上げも普通に来て、飲みが始まっても、なんとなくカメラが回ってるっていうのがね。

—映画の中の皆さんの語る言葉にも感動しました。音楽でもメッセージ性は大事にされてるんですか? それとも聴き手を楽しませることを優先しますか?
なんていうか、「地球に優しく」とか具体的なメッセージを込めているつもりはないんですけど、なんとなくメッセージ的なものを発しているという自覚は僕にもあります。それは聴く人によっては、これはこういうことを言ってるんじゃないかと思う人もいれば、ただの風景みたいに聞き流す人もいて、それは聞き手のそれぞれのイメージにまかせるっていうか…そういうのはあります。

—映画の中で、メンバーそれぞれが意識してないのに、「死」をテーマにした歌詞が自然と多くなってしまうとおっしゃっていましたが、そういう共通なものも自然と出て来るものなんですか?
その4人が集まったのも、ジャンルの趣味が合うから集まったんじゃなかった。聴いている音楽はみな違っていたから。歌詞の世界に共通するものを感じたというのとか…。みんな、死とか、さりげないことの中の非日常を歌ってるなと。詩の世界が共通してたんだと。それは、あとで気付きました。

—それこそ、皆さんの一言が歌詞のようで。
本当はもっとくだらないこと言ってるんだけど、そこは編集で全部カットされています。はは。

—こういう人に見てもらいたい、というのはありますか?
今バンドをやってる人に一番見てもらいたい。あとバンドに興味がある人。バンドっていうのは99%解散するんですよ。自然消滅含めてね。一見それは、ある種のおしまいなんですけど、そのあとも音楽活動を続けている人も結構いて、でもそのあとの様子っていうのはなかなか伝えられない。何年に解散、で終わるんですけど、やってる本人はそこで終わってない。バンドやってる人たちは、もちろん今活動なさってるバンドを今後継続していくことを頭に乗っけてやっていると思いますが、でもいつかは解散するなっていうことをふと考えることもあると思うんです。そういうときにこの映画をみて、解散した後もこういうふうに楽しくやっていけてる馬鹿げた生き方もあるんだなって思ってくれれば、うれしいなと思います。

—自分も趣味でバンドとかやってたので、刺さるものがすごいありました。
バンドやってれば「わかるわかる!」みたいなね。たまっていうバンド自体も19年やっていたので、アマチュアのとき急に売れて、また元に戻って、まぁ売れなくなるんですけど、一通りのことを経験してきたので、いろいろ参考になるのではないかと思います。

取材は一度、ここで終了でしたが、その後、同席されていた企画・プロデュースの三輪麻由子さんにもさりげなくお話を伺いました。

—企画をされたのは三輪さんなんですか?
三輪さん(以下、三):はい、後追いで、たまを聴きまして。それこそ、小学生のとき、たまをきいて感動とかしてたら良かったんですけど、そうではなくて。当時は童謡だと思っていたので…。
石川さん(以下、石):へへっ。

—「みんなのうた」でも流れていましたよね。
石:あー、流れましたね。
三:で、童謡かと思っていたら…
石:そしたら暗黒の世界だったんですね。ははははは。
三:なんかほんとガーンって感じて。私もいろんな音楽聴いてきて、若いときから、もうコツコツと努力してるみたいに。そうなると、もう聴きつくしたっていう時期ってあるじゃないですか。音楽に飽きたなって思ってしまうとき。
石:一通り、聴いちゃって、なんか新しいものねぇかな、っていうときね。
三:なに聴いても、つまんない。でも、自分の好きなものはわかってるから、好きなものはチェックしてるみたいな感じで。そういうときに、たまを聴いて、ガーンでした!
石:最初に見たのはなんだっけ?
三:最初はホルモン鉄道です。
石:あ…そっか。
三:ホルモン鉄道のライブで、前から2列目でずっと泣いてた女の子が私です。
石:ホルモン鉄道見て、そっからたまを選んだ。ははは
三:それで、なんかわかんないけど大泣きしてしまって。友達に「本当に変なんじゃない?」って言われて。
石:延々くだらないことしかしてないのに!
三:感動したんですよ、パンクだなって! そのときのホルモン鉄道はまだライブの回数を重ねていなくて、緊張感が凄かったんですよ。

—確かに石川さんにパンクを感じます。
石:へへへへへへへ。
三:なんて素敵なんだろうって!
石:ははははははははは!

—「パンク(語尾上がり)好きッス!」とか言っちゃってる人は、石川さんの足元にも及ばない!
三:ほんとのパンクのひとだ! って、こんなにかわいらしいひとなのに。
石:アマチュア時代ね、パンクの人と一緒に共演したこともあって。すると、すごい怖い格好してるパンクの人たちが、俺たちみて「あいつら…マジやべぇ」って言うの(一同笑)。客殴ったりするバンドの人が。「あいつら本物だ」って。「怖ぇ」って。

—まさに本物の証明ですね。
ははははは。

ここで写真撮影。インタビューは終了してしまったが、カメラマンから「話している体で」と注文が! だったら話しているときに撮ればよかったのにと思いつつ、なんとなく興味のわいたことを質問してみました。

—えーと、レッドツェッペリンでは何の曲が好きですか?
んー! レッド・ツェッペリンねぇー、あー、意外と中期あたりが…。

—「聖なる館」とかですか?
うん、そうですねぇ。あの辺。

—ツェッペリンも、入口は「II」とかでも聴き込むとそこに行きつきますよね。
そうそう、最初はね「天国への階段」とかで「おーっ!」ってなって、聴いていくと、よりあの辺が一番、こう…混沌としてて、面白いかなっ。

—「カシミール」とか面白いですよね。
うん。あとでもまぁアルバムとしては俺は「プレゼンス」が好きなんだよだねっ。一番こう、へヴィといわれてるんけど。ここまできたら、「これぞロックだよ!」っていう…それが。

—内から燃えてくるものですか?
そうそうそう、ははは。

—洋楽のロックも聴きつつ、日本のロックも聴いてきたっていう感じですか?
日本のは、どっちかっていうとアングラなもの、三上寛とか。あとは洋楽のプログレですね。キングクリムゾンとかピンク・フロイドとか。

—プログレから来てるものはあるのかなぁと思っていました。音には直接出るわけじゃないですけど、「カニバル」とかはプログレですよね。
うんうんうん。そうだね、プログレを聴いて、でも自分は手先が不器用だから、できること、出せるものを音にすると、まぁ、あの超絶テクニックはできなくても、ちょっと不思議な感じの「カニバル」とかになる。あの曲は、ギターで作ったんですけど、ギターで弾くとすごく簡単です。フレットと開放弦を落ちていけばいいだけなんで。でも、ピアノで弾くと結構大変みたいなんだけど。

—ライブ映像でもピアノの方、一生懸命ですよね。石川さんのほうをじっと見て。
そう! あれはでもタイミングもあるんですよ。歌の途中で急にストップして次に入り、即興終って俺の戻るタイミングを、顔の表情だけで読み取らないといけないんですよ。

—まさにバンドですね!
そうです、呼吸だね。そういうの見えてくるといいんだよね。

最後のお話で、思わず現在進行形の石川さんの音楽に対する姿勢に触れた気がしました! この後も会話は続きましたが、とりとめがなくなってしまうので、ここいらでお開きといたしましょう。皆様、ご精読ありがとうございました。

そして、お忙しいなか、筆者の暴走も笑って受け止めてくださった石川浩司さん。取材の場を設けてくださった、パル企画の三輪麻由子さん。この場を借りて厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。

(2010年12月3日 於:名曲・珈琲らんぶる)
(取材・構成 : 高橋真吾)

「たまの映画」
出演:石川浩司/滝本晃司/知久寿焼/たま
監督・撮影・編集:今泉力哉
製作:鈴木ワタル/張江肇
プロデューサー:磯田修一/三輪麻由子/宮田生哉
製作:パル企画/日本スカイウェイ
配給:パル企画 2010年/カラー/111分