テレビ音響効果の世界

【インタビュー】中島克に聞く、テレビ音響効果の世界 第3回

ー前回までは、音響効果の歴史を教えていただきました。今回は、これまで手がけてこられた中島さんのお仕事について少し聞かせてください。

映画とテレビでは、音のつけ方が全然違う。私がやってきたのは、テレビの音響効果です。
アタックって、わかりますか? 「川口探検隊」という番組は、ナレーションの間に「われわれは見た<ガーン>」みたいな感じで音を入れていたんです。あれをアタックといって、テレビ朝日の水曜スペシャル「川口探検隊」で初めてやったこと。
「川口探検隊」は、効果と選曲に分かれていて、効果は音声としてロケに行くわけですよ。ナグラのテープレコーダー担いで世界の秘境へ。虫の音を録って来たり、隊員の歩く音や、シーンに必要なさまざまな音を録ってくる。帰って来てから、その音を整理して、映像につけていく。テレビなんだけど、手法は映画と似てる。
それが効果の仕事で、もう一方で選曲という仕事があったんです。当時、不思議と選曲はターンテーブルの前にしか座れなかった。

−なぜ、ターンテーブルの前だけだったのですか?

テープレコーダーは、効果の世界。フィルムのダビングと同じなんですよ。
選曲は、当時、3連のターンテーブルがあって、音楽はすべてターンテーブルで出していたんです。フィルムに、デルマでチェックした音楽のきっかけのパンチがあるので、それを見て音楽を出すんです。

−デルマってチョークみたいなものですよね。

なぜか、アタック音に関しては、選曲で作っていた。最初は、作っていたのではなくて、レコードから抜き出していたんです。よく使ったのは、「DEATH WISH」というサントラB面ラストの曲頭に入っているピアノのクラスター音(注:ある鍵盤からある鍵盤までを同時に弾いたときの音)です。今も同じなんだけど、僕ら効果は、音楽の中から取り出せる音を、いつも考えながら聞いていて、それを付けていた。もう一つよく使っていたのが、アランパーソンズのピラミッドというアルバムの確かB面の一曲目、「IN THE LAP OF THE GODS」の頭から40秒あたりに入っているアタック音。
そうやって使っているうちに、今度はオリジナルのアタック音が欲しくなってくる。たとえば、先ほどのクラスター音に別の効果音を重ねたりして、新しいアッタク音を作っていった。それが当時、視聴者の間で流行ったんです。
「笑い袋」って、ありますよね。僕らは、「ガン」っていう音をよく使うから、「ガン袋」を作ろうなんていう話もあったんですよ(笑)。
今はよくテロップに合わせて音がついていますけど、その始まりが「川口探検隊」だったんです。

(次号に続く…)

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中島 克(なかじま まさる)
有限会社サウンド・デザイン・キュービック代表取締役。1985年、東京サウンドプロダクションを退社後、キュービックを設立。TSP在籍時には、テレビ朝日「川口探険隊」の選曲を担当。独立後は、「今夜は好奇心」 「驚き桃の木20世紀」などの番組も担当した。現在は「星新一のショートショート」「美の巨人」など楽曲制作も含め幅広く活動している。
サウンド・デザイン・キュービック http://www.cubic-power.net