音楽コラム集

【コラム】ゆる〜いヒットの作り方 #5「コマソンのススメ」 /マサ ハラタニ

 カエウタが空前のブームとなっている!?
 最近のCMを見ていると、「細マッチョ ゴリマッチョ」のサントリープロテインウォーターではディスコ時代の名曲「ハッスル」が、ダンスコンテストで話題のロッテFit’sでは「狼少年ケンのテーマ」が、ハウスのメガシャキでは同名映画もヒットした「ラ・バンバ」が取り上げられるなど、カエウタCMが急増している。とくに、カエウタ+ダンスのようなおもしろ企画など、ひと工夫のアイディアが加えられている作品が話題になっているようだ。
 これはきっとブームに違いない…。
 「カエウタ」とは「替え歌」。「コマソン」とは「コマーシャルソング」。つまり、過去にヒットした有名曲の歌詞の部分だけを変えて、広告主の言いたいことや商品PRなどのコマーシャルメッセージをのせて歌う、CM独特のカバー手法だ。
 以前からよく使われている手法の一つだが、これだけカエウタが増えた背景には、過去のヒット曲は、?耳に馴染んでいて覚えやすいこと?いい曲が豊富にあってカタログ的にも選びやすいこと?セールス記録など過去の実績を具体的に数字を挙げて広告主に提案しやすいこと?楽曲そのものにリマインド効果があり、当時の記憶も一緒に思い起こされること、などのメリットが考えられる。ほかにもたくさん利点があると思うが、これらをひっくるめて言い換えると「15秒で素早く消費者の心をグワっとわしづかみにし、伝えたいメッセージをお茶の間に一気に流し込む!」手法に、カエウタが効力を発揮していると言えそうだ(少々乱暴が…)。 
 原曲の持つ香り(雰囲気)を拝借して、別次元のCM作品に落とし込むことで、まったく新しいエンターテイメント作品として生まれ変わり、より強いメッセージを発信することができるのだ。そのためには、何よりも企画にマッチした楽曲のセレクトとカエウタのセンスが必要不可欠。CM音楽プロデューサーの企画力や提案力が必要とされる領域は、今後ますます広がるだろう。
 みなさんもTVを見ていて耳に止まった歌があったら、耳をそばだててよーく聞いてみてください。もしかしたら、どこかで聞いたことがある曲のカエウタかもしれません。

【次号ではスペシャル巻頭企画を進行中。Check Out Them!】

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■マサハラタニ
Gibsonブルースギターコンテストグランプリ受賞。数々の音楽ワークに携わった後、CM 音楽プロデューサーに転身。代表作は任天堂DS、ミツカン酢など。作編曲や歌手、ギターインストラクターとしても活躍中。
http://jp.myspace.com/masaharatani