音楽コラム集

【コラム】「ゆる〜いヒットの作り方」#2:最新CMで聴く名曲カバーの妙技 /マサ ハラタニ

All You Need Is Love (愛こそはすべて)。普遍的な愛を歌ったこの曲は、1967年に発表されたBeatlesの名曲だ。今もって世界中の人々に愛されている。この曲がNTTドコモのCMで使われ始めてからというもの、僕のギターレッスンでもこの曲を弾いてみたいという生徒が増えた。成海璃子の起用からスタートしたこのCMは、今では、堀北真希、松山ケンイチ、堤真一、劇団ひとり、山崎努など人気俳優を次々と出演させ、一層の話題を呼んでいるが、共通して使われている音楽は、このAll You Need Is Love。CMの趣旨に合わせ、いろいろなアレンジが施されている。オリジナルに忠実なマーチ風に始まり、ほのぼの系女性ボーカル、爽やかなオリエンタルロック、シャウトも聞こえるハードロック風などなど、見事なバリエーションを聞くことができる。原曲は4拍子と3拍子を組み合わせた、わりと高等なテクニックを使っていたりするけれど、とてもシンプルで簡単な曲に聞こえる。メロディーがすんなり耳に入ってきて、次の瞬間口ずさんでしまう。まさに優れた楽曲の代表格と言えるだろう。優れた楽曲だからこそ、いろいろなアレンジを施しても、楽曲の持つ本来の“持ち味”を失わずに輝くことができる。だから、それぞれのCM表現に合わせてバリエーションを持たせても、散漫な印象にならずに、統一感のあるCM表現を可能にしているのだと思う。カバーをすることで、オリジナルの素晴らしさに改めて気づいたりもできるし、こんな風に名曲を自分色に輝かせてみるのも、また、おもしろいのではないだろうか。

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■マサハラタニ
Gibsonブルースギターコンテストグランプリ受賞。数々の音楽ワークに携わった後、CM 音楽プロデューサーに転身。代表作は任天堂DS、ミツカン酢など。作編曲や歌手、ギターインストラクターとしても活躍中。
http://jp.myspace.com/masaharatani